総論
・ミオクローヌスは、顔面、体幹、四肢などに認める100mm秒以下の短い不随意の筋攣縮である
・単独の筋群や特定のグループの筋群に生じ、片側性のものや両側性のものがあり、頻度としては単発のものや連続するものがある。
・てんかんに関しては、発作時脳波で全般性棘徐波複合、多棘徐波複合、多棘徐波に一致して出現するミオクローヌスをミオクロニー発作と呼ぶ。
病因
・てんかん
・代謝疾患
・脳炎
・神経変性疾患
乳児ミオクロニーてんかん
概念
・以前は乳児良性ミオクロニーてんかんと呼ばれていたが、経過中必ずしも良性の経過を辿らない場合があり、2010年の国際てんかん連盟(ILAE)の分類より良性の文字が削除された。
発症年齢
・生後4ヶ月〜3歳に発症することが多い
症状
・単発または群発する短いミオクロニー発作を認める
・多くは左右対称性
・上肢や頭部に認めることが多く、覚醒時から浅睡眠期に認めることが多い
・光刺激や突然の音、触覚によって誘発されることがある。
・思春期に全般強直間代発作を起こすことはあるが、それ以外の発作型を認めることは少ない。
脳波所見
・発作間欠期の覚醒時脳波の背景波は正常
・睡眠時では全般性棘徐波を認める。
・発作時脳波はミオクロニー発作に一致して3Hz以上の全般性棘徐波または多棘徐波を認める
診断基準
1. 短いミオクロニー発作が主体で、音や触覚刺激で誘発されることがある
2.生後4ヶ月~3歳に発症する
3.発症前の発達は正常であり、家族歴では熱性けいれんやてんかんを有することがある
4.単純型熱性けいれん以外の他のてんかん発作型を伴わない
5.発作時脳波では全般性棘徐波または多棘徐波に一致してミオクロニー脱力発作を認める。発作間欠期脳波では覚醒時の棘徐波はまれであり、傾眠、徐波睡眠時、時に光刺激時に棘徐波を認める。背景活動は正常、焦点性異常波は認めない
6.バルプロ酸単剤で治療反応は良好である。
治療
・第一選択はバルプロ酸が推奨される(54~95%でミオクロニー発作は抑制との報告あり)
・バルプロ酸で発作抑制できない場合、クロナゼパム、クロバザム、エトスクシミド、ラモトリギン、レベチラセタムの追加で発作抑制が得られたとの報告あり
※カルバマゼピン、フェニトイン、ガバペンチンはミオクロニー発作を増悪させる可能性があるため使用には注意
予後
・治療により発作は消失することが多いが、経過中に全般強直間代発作を発症する症例や、若年性ミオクロニーてんかんに移行した症例も報告されている。
・発作間欠期脳波は、治療反応と相関することが多い
・知的障害を0~28%で認め、それ以外に学習障害、注意力低下、巧緻性障害などを認める場合あり
乳児ミオクロニーてんかんの鑑別疾患
West症候群
・4~8ヶ月時にてんかん性スパズム、退行、発作間欠期脳波でヒプスアリスミアを認める
・長期経過の中で知的障害を認めることが多い
・ミオクロニー発作とてんかん性スパズムが問診や外見から区別できない場合には、筋電図を同時記録した発作時脳波での評価が望ましい
Dravet症候群
・5~8ヶ月に発症し、発症時は正常発達である。
・SCN1A遺伝子異常をおよそ70~80%で認める
・感染症に伴う発熱、予防接種、入浴によって誘発され、てんかん重積状態を繰り返すことが多い。
・発作型は全般強直間代発作、ミオクロニー発作、非定型欠神発作
・発症早期の発作間欠期脳波は正常
Lennox-Gastaut症候群
・3~5歳に発症する
・発作型は強直発作が主体、他に非定型欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作など様々認める
・発作間欠期脳波は2~2.5HZの全般性棘徐波を認める
・抗てんかん薬に治療抵抗性を示すことが多い
ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん
・2~5歳に発症することが多い
・発作型はミオクロニー脱力発作による転倒発作が主体であり、非定型欠神発作や全般強直間代発作を合併することもある。
・発作間欠期脳波では、覚醒時に中心・頭頂部にθ帯域の波形を認め、睡眠時には2~3HZの全般性棘徐波複合を認める
・発作時脳波では全般性棘徐波または多棘徐波に一致してミオクロニー脱力発作を認める
・バルプロ酸で発作抑制が得られることはない
グルコーストランスポーター1欠損症
・生後6ヶ月以内に発症する
・原因遺伝子としてSLC2A1遺伝子異常が報告されている。
・てんかん、不随意運動、運動発達遅滞、知的障害が主症状
・病態として血液脳関門を介した脳内へのグルコース輸送障害があげられる
・絶食や疲労によってミオクロニー発作、欠神発作、運動誘発性ジストニアを認めることがある
入眠時ミオクローヌス
・入眠時や睡眠時に短時間四肢をぴくつかせる非てんかん性の生理的ミオクローヌス
・発作時閉眼状態であることが多い
・発作時脳波では筋収縮に一致した脳波異常は認めない
・発達は正常
身震い発作
・乳児期から幼児期にかけて、覚醒時に四肢や体幹を数秒間こわばらせる身震いの動作を認める
・怒りや興奮などの情動で増強することがある。
・発作間欠期脳波は正常
・加齢に伴い自然消失、発達は正常


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