【小児科医blog:循環器】小児の心雑音について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:循環器】小児の心雑音について

循環器

総論

・心雑音を調子した際、健常児に聞こえる無害性心雑音か、器質的心疾患に伴う病的心雑音なのかを鑑別することが重要。病的心雑音では、先天性心疾患などを診断する。

・大まかなイメージとして、Levine-Ⅱ度以下の小さなやわらかい感じの音を、短い収縮期に狭い範囲で聴取すれば無害性心雑音。Levine-Ⅲ度異常の大きな耳障りな音を長い収縮期・拡張期・連続性のいずれかに広い範囲で聴取すれば病的心雑音の可能性が高い。

Levine分類

Ⅰ度:非常に弱い

Ⅱ度:弱い

Ⅲ度:中等度

Ⅳ度:強く振戦(thrill)あり

Ⅴ度:非常に強い

Ⅵ度:聴診器を離して聞こえる

無害性心雑音と病的心雑音の特徴

・無害性心雑音は、静かな環境で注意深く聴診すると50-70%程度の小児に認めるとも言われている。

・雑音が臥位で聞こえるが立位では消失する場合、2歳以上の小児においては病的心雑音の可能性は少ない。

・病的心雑音では、はじめに指摘された時期が診断の手がかりとなる。

無害性心雑音(「7S」が特徴)

大きさ:小さい(Soft)

時相:短い(Short)、収縮期(Systolic)

性状:やわらかい感じ(Sweet)

範囲:聴取部位が狭い(Small)

変化:体位や呼吸で変化(Sensitive)

随伴する音:単一(Single)

病的心雑音

大きさ:大きい(Levine-Ⅲ度以上は病的)

時相:長い(汎収縮期雑音は病的)、収縮期・拡張期・連続性など様々(拡張期は病的)

性状:耳障りな感じ

範囲:放散し聴取部位が広い

変化:変化は少ない

随伴する音:クリック等を伴うことあり

無害性心雑音の種類

・以下に無害性心雑音を聴取する部位、時相・性状、特徴をまとめる。

Still雑音(Still’s murmur, vibratory murmur)

聴取する部位(最強点)、放散部位

・胸骨左縁下部(〜心尖部に放散)

時相・音調・性状

・収縮期

・低〜中調性

・弦を振動させたような音(「ブン」「ギュッ」)

そのほかの特徴

・幼児〜小学校低学年(2-6歳)に頻繁に聴取される。思春期でも聞こえることあり。

・運動、発熱時など心拍出量の増加時によく聞こえる

・心室収縮による過剰振動。左室流出路の生理的狭窄、大動脈血流加速などによる。

・仰臥位で増強する。吸気では減弱。

鑑別

・心室中隔欠損:荒い汎収縮期雑音

肺動脈駆出音(pulmonary ejection sound)

聴取する部位(最強点)、放散部位

・胸骨左縁上部

・背部には放散しない

時相・音調・性状

・収縮期駆出性

・中調性

そのほかの特徴

・小学校高学年〜中学生に多い

・座位で減弱〜消失

静脈雑音(こま音:venous hum)

聴取する部位(最強点)、放散部位

・胸骨右縁上部〜右頚部

時相・音調・性状

・中〜高調性

・連続性、拡張期雑音

 内頚静脈、鎖骨下静脈合流部での乱流による

そのほかの特徴

・3~8歳に多い。

・仰臥位、頚部の圧迫や回転で減弱〜消失する

・座位、診察医の対側向きで増強する。

鑑別

・動脈管開存:体位で変化なし、荒い、左室肥大

頚動脈雑音(carotid bruit)

聴取する部位(最強点)、放散部位

・右鎖骨上窩

時相・音調・性状

・収縮期駆出性

・中〜高調性

そのほかの特徴

・両肘を曲げ背部で接近させるような体位で減弱〜消失する

心肺性雑音(cardio-respiratory murmur)

聴取する部位(最強点)、放散部位

・一定でないが心尖部でよく聴取する

時相・音調・性状

・収縮期

・高調性

そのほかの特徴

・呼吸性に変動し、息止めで減弱〜消失

末梢肺動脈狭窄による雑音(peripheral pulmonary stenosis)

聴取する部位(最強点)、放散部位

・両側胸骨縁上部

・腋窩〜背部に広範囲に放散

時相・音調・性状

・収縮期駆出性

・中調性

そのほかの特徴

・新生児期に好発

・生後数ヶ月で消失することが多い

病的心雑音の種類

・病的心雑音では、はじめに指摘された時期が診断の手がかりとなる。

・出生直後から収縮期雑音を聴取する時は、半月弁の狭窄、房室弁の逆流の他重症心疾患を考える。

・生後数日〜数ヶ月、特に1ヶ月前後に聴取される雑音は、心室中隔欠損症をはじめ、完全型房室中隔欠損症、動脈管開存による左右短絡の雑音が代表的である。これらの疾患では、生後間もない新生児は生理的肺高血圧のため有意の左右短絡を生じず、心雑音も聴取しにくい。肺血管抵抗が低下すると共に肺動脈圧も低下し、左右短絡量が増加して明らかな収縮期雑音を聴取するようになる。

・新生児期の心雑音については以前まとめた記事参照↓↓

・幼児期、学童期に検出される心雑音では、心房中隔欠損症が最多。心房中隔欠損症の左右短絡は、左房と右房の圧較差によるものではなく、左室と右室のコンプライアンス(拡がりやすさ)の差による。成長により右室のコンプライアンスが大きくなると、左右短絡が増大し右室は大量の血液を駆出するため肺動脈弁口は相対的狭窄となり、収縮期雑音を聴取されるようになる。

拡張期ランブル

症状

・全身性チアノーゼ、強い胸痛、持続する動機は心疾患を強く疑う症状であるが、咳・喘鳴・めまい・食欲不振などの一般的な症状が心疾患による場合もある。

・哺乳不良は乳児の心不全の重要な徴候であり、哺乳時間が増え、体重増加も不十分になる。

・また、心不全がある場合、血流速度が遅くなるため心雑音は時に小さくなり、聴こえないこともあるので注意する。

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