最初に
・薬物投与に際しては、静脈路確保が必要であるが、小児の場合は末梢静脈が細く、静脈路確保に難重することが多い。緊急時にはルート確保に時間をかけるべきではなく、迅速に静脈路を確保できない、もしくは困難が予測される場合は、速やかに骨髄路の確保を行う。
・小児の蘇生に用いられる薬物は、強力な血管収縮作用をもつものは、末梢血管から持続投与すると組織壊死を起こすことがあるため、原則的には中心静脈から投与する。蘇生時にはその限りではない。
・また蘇生時の輸液は、生理食塩水や乳酸リンゲル液など、糖を含有しない等張性輸液を選択する。
今回の内容は、日本小児科学会の定めるJPLS(小児診療初期対応コース)に準拠します。
骨髄内投与(IO)
・静脈内投与ができる薬剤は、すべて骨髄路からも投与できる。
・投与量は静脈内投与と同量である。
・効果発現時間も、静脈内投与とほぼ同じである。
・刺入部位:脛骨前面近位端を第一選択とする。しかし、成長板の損傷を避けるべきである。年長児では、上前腸骨棘も使用される。
・合併症:骨折、コンパートメント症候群、骨髄炎
・禁忌:骨折した骨への刺入、一度刺入した骨への再刺入
薬剤ごとの特徴
IV:静脈内投与
IO:骨髄内投与
ATP
適応:SVT
用量:初回 0.1-0.3 mg/kg, IV or IO(最大1回投与10mg)
2回目以降 0.2 mg/kg, IV or IO (最大1回投与10mg)
注意点:ATP投与後は、2シリンジテクニックにより急速静脈内投与(生食での後押し)を行う。
アトロピン
適応:迷走神経刺激による徐脈の治療と予防、房室ブロックによる徐脈
用量:0.02 mg/kg, IV or IO (最小1回投与量: 0.1mg) (最大1回投与量: 0.5mg)
※総投与量は1mgまで
注意点:最小投与量以下では、徐脈の誘発に注意。
アドレナリン
適応:心停止(CPRで改善しない徐脈, 4分ごとに投与可能), アナフィラキシー
用量:0.01 mg/kg, IV or IO
※アナフィラキシーに用いる場合は0.01 mg/kg筋注
持続投与用量:0.01-1 μg/kg/min
作用:心筋収縮力増強作用と血管収縮作用
アミオダロン
適応:VF/無脈性VT. SVT, VT
用量:2.5-5.0 mg/kg(最大300mg)
注意点:QT時間を延長させる薬物と併用不可
グルコン酸カルシウム
適応:症候性低カルシウム血症、高カリウム血症、カルシウム拮抗薬過剰投与
用量:60-100 mg/kg, IV or IO, 緩徐に静脈内投与
※8.5%製剤として0.7~1.2 ml/kg
注意点:徐脈、心停止に注意
塩化カリウム
適応:症候性低カルシウム血症、高カリウム血症、カルシウム拮抗薬過剰投与
用量:20mg/kg, IV or IO, 緩徐に静脈内投与
※2%製剤として1ml/kg
注意点:徐脈、心停止に注意
ドパミン
作用:新筋収縮力増強作用。低用量でβ作用優位、高用量でα作用優位
用量:2-20 μg/kg/min
ドブタミン
作用:心筋収縮力増強作用、血管拡張作用
用量:2-20 μg/kg/min
ニトロプルシド
作用:強力な血管拡張作用
用量:0.5-5 μg/kg/min
ノルアドレナリン
作用:強力な血管収縮作用
用量:0.1-1 μg/kg/min
プロカインアミド
適応:SVT, VT
用量:15 mg/kg, IV or IO 30-60分かけて緩徐に投与
注意点:心電図・血圧を監視し、QT時間延長に注意。小児循環など専門医に相談
マグネシウム
適応:torsades de pointes, 症候性低マグネシウム血症
用量:25-50 mg/kg, IV or IO (最大1回投与量 2g)
(10-30分かけて緩徐に投与, ただし心停止時には速く投与)
ミルリノン
適応:心室拡張機能改善、血管拡張作用
用量:50 μg/kg, IV or IO (10-60分かけて緩徐に投与)
持続用量:0.25-0.75 μg/kg/min
注意点:ローディングの際の低血圧に注意、腎不全の場合の用量に注意
リドカイン
適応:VT, 無脈性VT
用量:1-1.5 mg/kg, IV or IO (最大3mg/kgまで)
持続用量:20-50 μg/kg/min
注意点:中枢神経系副作用(けいれんなど)
炭酸水素ナトリウム
用量:1 mEq/kg, IV or IO
BE値 ✕ 体重(kg) ✕ 0.3 [mEq] の半量投与とする方法もある
注意点:CRP中のルーティーンとしては使用しない、動脈血ガスデータを元に投与考慮
ブドウ糖液
用量:0.5-1 g/kg, IV or IO


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