こんにちは。小児科医りんご🍎です。
大切なお子さんが、夜中に咳き込んだり、呼吸をするたびに「ゼーゼー」と苦しそうな音をさせていると、ご家族としても本当に不安になりますよね。
「これって、もしかして喘息(ぜんそく)?」
と心配されているお父さん・お母さんも多いのではないでしょうか。
今回は、「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023(JPGL2023)」の内容を踏まえ、小児科医の視点から、喘息を疑うタイミング、検査、そして治療について、できるだけ分かりやすく解説します。
どんな時に「喘息」を疑うの?
喘息は、空気の通り道(気管支)に炎症が起き、空気の通り道が狭くなってしまう病気です。
私たちは、以下のようなサインがある場合に喘息を疑います。
① 特徴的な呼吸音(喘鳴:ぜんめい)
呼吸をする時に、胸や喉の奥から「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が聞こえるのが最大の特徴です。特に、息を「吐くとき」に強く聞こえることが多いです。
② 症状が繰り返す
風邪をひいた時だけでなく、以下のようなタイミングで繰り返し症状が出る場合です。
• 夜中から明け方にかけて咳やゼーゼーが悪化する。
• 走ったり運動したりした後に咳き込む。
• 季節の変わり目や、天気が悪い(低気圧)時に悪化する。
• 冷たい空気を吸い込んだ時に咳が出る。
③ 「3回以上」がひとつの目安
1回だけの「ゼーゼー」では、ウイルス性の風邪(気管支炎など)との区別が難しいため、通常は「明らかな呼気性喘鳴(吐く時のゼーゼー)を3回以上繰り返す」場合に、臨床的に喘息と診断することが多いです。
病院ではどんな検査をするの?
「喘息かどうか白黒はっきりさせる検査はありますか?」とよく聞かれますが、実は「これ1つで喘息と決まる」という魔法のような検査はありません。
お子さんの年齢によってできる検査が異なるため、問診と診察が最も重要になります。
乳幼児(赤ちゃん~未就学児)の場合
まだ複雑な検査ができないため、以下の情報が診断の鍵になります。
• 問診と聴診
症状の頻度や、アレルギーの家族歴(ご両親が喘息や花粉症など)があるか。胸の音を聴診器でしっかり聞きます。
• アレルギー検査(血液検査)
ダニ、ハウスダスト、ペットなどのアレルギーがあるか確認します。これらは喘息の悪化要因になりやすいためです。
また、乳幼児の喘息との鑑別疾患については、過去のブログ記事をご覧下さい👇️
小学生以上の場合
大人のような詳しい検査ができるようになります。
• 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
思い切り息を吸って吐いて、肺活量や空気の通りやすさを数値化します。
• 呼気NO(一酸化窒素)検査
風船を膨らませるように息を吐いてもらい、吐いた息に含まれるNOの濃度を測定します。これにより、気道の「炎症の程度」が数値で分かります。お子さんでも負担なくできる非常に有用な検査です。
治療はどのように行うの?
喘息の治療は、大きく2つの柱に分かれます。ここが一番大切なポイントです。
① 発作を止める薬(リリーバー)
苦しい発作が起きた時に使います。
• 気管支拡張薬(吸入・貼り薬・飲み薬)
狭くなった気管支を広げて呼吸を楽にします。
⚠️注意点: これはあくまで「一時しのぎ」です。これを使わないと苦しい状態が続くなら、次の「予防薬」の調整が必要です。
② 発作を起こさないための薬(コントローラー)
今の喘息治療の主役はこちらです。 症状がない時も毎日続けて、気管支の「火事(炎症)」を鎮火させます。
吸入ステロイド薬(ICS)
最も効果的なお薬です。「ステロイド」と聞くと副作用を心配される方もいますが、吸入薬は直接気管支に届くため、全身への影響は極めて少なく、安全性が高いことが分かっています。
ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
アレルギー反応を抑える飲み薬です。軽症の場合や、吸入薬の補助として使われます。
★最新ガイドライン(2023年版)のポイント
最新のガイドラインでは、低年齢のお子さんでも、必要に応じて「吸入ステロイド」と「長時間作用性気管支拡張薬」が一緒になった配合剤を使用することが推奨されるようになりました。これにより、以前よりも強力に、かつシンプルに発作を予防できる選択肢が増えています。
さらに詳細な改定点は過去のブログ記事をご覧下さい👇️
最後に:小児科医からのメッセージ
小児喘息の最終的な治療目標は「治癒」です。
つまり、「お薬を使わなくても、全く症状が出ない状態」を目指します。
「吸入を毎日続けるのは大変…」と思われるかもしれませんが、しっかりと炎症を抑え込む治療(長期管理)を続けることで、多くのお子さんがスポーツも勉強も全力で楽しめるようになります。逆に、治療を途中でやめてしまうと、大人になっても喘息を持ち越してしまうリスクが高まります。
「もしかして?」と思ったら、お近くのかかりつけ医に相談してみてくださいね。一緒にお子さんの呼吸を守っていきましょう。




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