【小児科医blog】子供の「チック症」(まばたき・咳払い)。親が行うべき対応とは何? | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog】子供の「チック症」(まばたき・咳払い)。親が行うべき対応とは何?

神経
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「最近、うちの子やたらと目をパチパチさせているな…」

「風邪でもないのに、変な咳払いがずっと治らない」

お子さんにこのような症状が見られると、「目にゴミでも入った?」「喉がおかしいの?」と心配になりますよね。あるいは、「やめなさい」と注意してしまったことがある親御さんもいるかもしれません。

実は、「チック症」と呼ばれる症状かもしれません。

小児科外来でもご相談が非常に多いこのチック症ですが、私たち小児科医は親御さんに

絶対に、症状を指摘しないでください

と強く念押ししています。

今回は、小児科専門医の視点から、チック症の正体と「なぜ指摘してはいけないのか」という医学的な理由、そして親ができる正しい対応策について解説します。

チック症とは?「わざと」でも「ただのクセ」でもありません

チック症とは、本人の意志とは無関係に、体の一部が動いてしまったり、声が出てしまったりする疾患です。主に幼児期から小学校低学年(4〜11歳頃)に発症しやすく、非常にポピュラーなものです。

チックには大きく分けて2つの種類があります。

運動チック: まばたきを繰り返す、首を振る、顔をしかめる、肩をすくめる など

音声チック: 「ンンッ」と咳払いをする、鼻を鳴らす、無意味な言葉を発する など

ここで最も知っておいていただきたいのは、チック症は「親の育て方が悪い」ことや、「愛情不足」が原因ではないということです。

最新の医学では、チック症は脳内の神経伝達物質(ドーパミンなど)の働きや、大脳基底核という運動を調整する部分の機能的な偏りが関係していると考えられています。つまり、成長過程における「脳の発達のアンバランスさ」が引き起こすものであり、お子さんがわざとやっているわけでは決してないのです。

小児科医が「絶対に指摘しないで」と念押しする3つの医学的理由

チックの症状が出ていると、親としてはつい「またやってるよ」「やめなさい」と言いたくなりますよね。しかし、それをグッと堪えていただきたいのには、しっかりとした理由があります。

1. 本人の意志では止められないから(不随意運動)

チックは、医学用語で「不随意運動(ふずいいうんどう)」と呼ばれます。これは、しゃっくりやくしゃみと同じで、自分の意志ではコントロールできない動きです。

大人が「しゃっくりを今すぐ自分の意志で止めてください」と言われても無理なように、子供もチックを止めることはできません。

無理に我慢させようとすると、かえって「チックを出したい」という衝動が脳内で風船のように膨らみ、限界に達したときにさらに激しい症状として爆発してしまいます。

2. 指摘によるストレスが脳の神経伝達をさらに過敏にするから

チック症は、ストレスや緊張、不安、あるいは極度の興奮(テレビゲームに熱中している時など)をキッカケに症状が悪化しやすいという特徴があります。

親から「またまばたきしてる!」「やめなさい!」と指摘されることは、子供にとって強烈なプレッシャー(=ストレス)になります。

このストレスが脳内のドーパミンの働きをさらに過敏にさせ、結果的にチックの症状を増悪させてしまうという「悪循環」に陥るのです。

3. チックによる二次的な影響を防ぐため

実はチックそのものよりも怖いのが、この「二次障害」です。

自分ではどうにもできない症状を何度も注意されたり、叱られたりすると、子供は「自分はダメな子なんだ」と深く傷つきます。それが原因で周囲の目を過剰に気にするようになり、学習意欲の低下や、最悪の場合は不登校やうつ症状などの引き金になることもあります。

親ができる対応策は?

では、お子さんにチックの症状が見られたら、親はどう対応するのが正解なのでしょうか。

徹底的な「スルースキル」気づかないふりをする。

一番の特効薬は、「症状を完全に無視し、今まで通り温かく接すること」です。

子供自身も「なんだか勝手に動いちゃうな」と違和感を覚えていることがあります。

そこで親が過剰に反応せず、「大したことないよ」「誰にでもあることだよ」というゆったりとした空気を作ってあげることが、最大の安心感に繋がり、ストレスが低減します。

環境の調整:ストレスの原因を減らそう

進級、クラス替え、引越しなど、生活環境の変化が引き金になっていることがあります。

「今日何か嫌なことあった?」と問い詰めるのではなく、家の中を「子供が一番リラックスできる安全基地」にしてあげてください。

睡眠をしっかりとることも脳の発達を促すために非常に重要です。

受診の目安

多くのチックは「一過性」のもので、数週間から1年以内に自然に消失、あるいは気にならない程度まで軽快します(成長とともに脳の神経伝達が安定するためです)。 ただし、以下の場合は一度小児科をご受診ください。

  • 症状が1年以上、慢性的に続いている
  • 運動チックと音声チックの両方が長期間出ている(トゥレット症候群の疑い)
  • 首を激しく振るなどで、体に痛みが出ている
  • 症状のせいで、学校生活や友達関係に明らかな支障が出ている

まとめ:チックは「脳が成長している証」

子供のチック症状は、親御さんにとっても見ていて辛いものかもしれません。しかし、「いつか必ず落ち着くもの」「脳が一生懸命成長している過程のエラー」と捉え、ゆったりと構えてあげてください。

「指摘しない・気にしない・見守る」。 この3つが、お子さんの心と脳を守る一番のお薬になります。

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