【小児科医🍎Blog】「ただの風邪?それとも…」朝の頭痛や嘔吐で気づく『子どもの脳腫瘍』のサインと基礎知識 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医🍎Blog】「ただの風邪?それとも…」朝の頭痛や嘔吐で気づく『子どもの脳腫瘍』のサインと基礎知識

腫瘍・がん

子どもが急に頭痛を訴えたり、何度も吐いたりすると、親としては本当に心配になりますよね。

ネットで検索して「脳腫瘍」という言葉を目にし、血の気が引いた経験がある方もいるかもしれません。

今回は、絶対に知っておいてほしい「子どもの脳腫瘍」についての基礎知識を解説します。

最後まで読んでいただければ、「いつもの風邪」と「急いで受診すべきサイン」の見分け方、そして万が一の時の医療の流れがクリアに分かるはずです。

1. まず知っておきたい「危険なサイン」とは?

親御さんが一番知りたいのは「うちの子は大丈夫なのか?」という点ですよね。

子どもの脳腫瘍で最も特徴的なのは、腫瘍が大きくなることで頭蓋骨の中の圧力(頭蓋内圧)が上がり、それに伴って出る症状です。年齢によってもサインが異なります。

🚨 全年齢で注意したいサイン:「朝の頭痛と嘔吐」

夜間、横になって寝ている間は、体の構造上どうしても頭蓋内圧が上がりやすくなります。

そのため、「朝起きた直後に強い頭痛を訴える」「吐き気や下痢などの前触れもなく、朝方に突然ケロッと吐く(Morning vomiting)」という症状が数日〜数週間続く場合は、要注意です。

🚨 年齢別のSOSサイン

■赤ちゃん(0〜1歳)

まだ頭の骨のつなぎ目が閉じていないため、圧力が逃げて頭痛を訴えにくいのが特徴です。

その代わり、

・「頭が急に大きくなる」

・「大泉門(頭のてっぺんのペコペコした部分)がパンパンに張る」

・「黒目が下の方に沈む(落陽現象)」

・「ずっと機嫌が悪く、ミルクを飲まない」といった症状が出ます。

■幼児〜学童期

頭痛・嘔吐に加えて、

・「よく転ぶ、ふらふら歩く(失調歩行)」

・「物が二重に見えると言う、急に斜視になった」

・「今までできていたことができなくなった」

・「性格が急に変わった」といった神経や視力の症状が出やすくなります。

胃腸炎なら数日で嘔吐は治まりますが、「何日も続く」「日に日に悪化する」「頭痛で夜中に何度も目が覚める」場合は、迷わず小児科を受診してください。

2. 疫学:脳腫瘍って、子どもにどれくらい多いの?

ここまで怖い症状をお話ししましたが、少し安心するためのデータもお伝えします。

脳腫瘍は小児がんの中で、白血病に次いで2番目に多い病気です(固形腫瘍と呼ばれる「しこり」を作るがんの中では第1位)。 しかし、発症率は子ども10万人あたり年間およそ3〜4人程度。決して「よくある病気」ではありません。

一言で「脳腫瘍」と言っても、小児の場合は「星細胞腫(せいさいぼうしゅ)」「髄芽腫(ずいがしゅ)」「上衣腫(じょういしゅ)」など非常に多くの種類があり、できる場所も悪性度(進行の早さ)も様々です。

3. 小児科ではどんな検査をするの?

「いつもと違うサイン」で受診された場合、医師はまず丁寧な神経学的診察を行います。 目の動き、手足の力、歩き方などをチェックします。

そこで「脳の精密検査が必要だ」と判断した場合、以下の検査へ進みます。

頭部MRI検査

脳の中をあらゆる角度から直接見る、最も重要な検査です。ただし、MRIは狭い筒の中で大きな音が鳴り、数十分間じっとしている必要があります。小さなお子さんには非常に難しいため、小児科では安全に配慮しながらお薬で眠らせて(鎮静)検査を行うのが一般的です。

頭部CT検査

出血や石灰化(腫瘍の一部が硬くなること)を素早く確認する場合に行います。

髄液検査

腫瘍の細胞が、脳から脊髄へ流れる水(髄液)にこぼれ落ちていないかを確認する際に行います。

(※頭蓋内圧が高すぎる場合はリスクを伴うため、画像検査の後で慎重に判断します)

病理組織検査(手術による生検)

最終的な診断をつけるため、手術で腫瘍の一を採取し、顕微鏡で細胞の種類や悪性度を確定させます。

4. 治療はどのように進むの?

子どもの脳腫瘍治療は、ここ数十年で目覚ましい進歩を遂げています。小児科医だけでなく、小児脳神経外科医、放射線科医などがチームを組み、以下の3本柱で「子どもたちの未来の脳機能」を守りながら治療を行います。

■外科的治療(手術)

「正常な脳の機能を傷つけない範囲で、可能な限り腫瘍を摘出する(最大安全摘出)」のが基本です。小児の脳手術に熟練したチームが担当します。脳腫瘍の種類・悪性度に応じて外科的治療を行った方が良いもの、化学療法・放射線療法が適しているものは様々です。

■化学療法(抗がん剤)

点滴や飲み薬で全身の腫瘍細胞を攻撃します。近年では、特定の遺伝子変異を狙い撃ちにする「分子標的薬」の開発も進んできています。

■放射線治療

腫瘍を死滅させる強力な治療です。発達途中の脳に放射線を当てると、将来の知能発達やホルモン分泌に大きな影響(晩期合併症)が出るリスクがあるため、3歳未満の乳幼児には慎重・行わない治療です。最近では、正常な脳へのダメージを減らせる「陽子線治療」など、より負担の少ない選択肢も小児医療に広がってきています。

    おわりに:パパとママの「直感」は正しい

    医学的なことをたくさん書きましたが、一番お伝えしたいのはこれです。

    親の『なんかいつもと違う、おかしい』という直感はとにかく大事ということです。

    子どもは風邪もひくし、胃腸炎にもなります。

    毎朝の頭痛が、実は学校に行きたくないストレスからの心身症だった、ということもよくあります。 ですから過度に怯える必要はありませんが、今回ご紹介した「危険なサイン」が続く時は、遠慮せずに医療機関を頼ってくださいね。

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