総論
定義
てんかんとは、脳の神経細胞に突然発症する激しい電気的興奮によって発作を繰り返す慢性の脳疾患である。
・無熱性けいれんがてんかんを疑うきっかけとなることが多い。
・以下が国際抗てんかん連盟(ILAE)での臨床定義である。
てんかんは、下記のいずれかを満たす脳の疾患である。
- 非誘発性発作が24時間以上の間隔で少なくとも2回繰り返す
- 1回の非誘発性発作が生じ、その後の10年間における発作再発率が非誘発性発作が2回繰り返した後の一般的な再発リスク(60%以上)と同程度である。
- 特定のてんかん症候群と診断できる
なお、年齢依存性てんかん症候群を有していたが、現在はその後発年齢を過ぎている人や、過去10年間発作がなく、過去5年間に抗てんかん薬を内服していない人に関しては、てんかんが消失(resolved)したとみなす。
ILAEてんかんの操作的(実用的)臨床定義
・発作型により、全般起始発作と焦点起始発作に分類される。
病態
・主症状であるてんかん発作は、異常放電の起始と脳内ネットワークの伝播によって症候が決まる。
・神経細胞の異常放電は、大脳新皮質、視床皮質、辺縁系、脳幹のネットワークなどのどこにでも発生し、ネットワークの領域に応じて運動、感覚、意識、情動の多彩な症候を連続して呈する。
・異常放電がただちに顔面、四肢に強直、間代などの運動症候を呈する領域に拡延する場合は捕捉しやすいが、感覚野、記憶のみに関与する領域から起始する場合は周囲の認識は困難である。
診断・検査
・問診は、てんかんの診断に最も重要。発作型、脳のネットワークを想定し、発作の誘発因子なども含めて能動的問診を行う。
・脳波検査も重要ではあるが、発作間欠時脳波が異常だからてんかんと確定できたり、脳波所見が正常だからてんかんを除外できる訳ではない。
・初回の診察で大事なのは、低血糖、電解質異常(Na, Mg, Ca)、代謝異常、高血圧性脳症(PASGN)、不整脈(QT延長症候群、洞不全症候群)、脳の器質的疾患(出血、腫瘍)を除外することである。
・そのため、血液検査(Mg,Ca, NH3含む)、尿検査、心電図、頭部CTを実施する。
・後日頭部MRI、MRAで脳動静脈奇形、もやもや病、脳梗塞、神経変性疾患を除外する。
・確定診断が困難な場合は、精査を繰り返すとともに、暫定的にてんかんとして治療を開始し、その反応性をみて診断につなげる。
全般起始発作:Generalized Onset
・両側性に分布するネットワーク内のある部位から起始し、両側ネットワークが急速に活動するもの
発作分類
①欠伸発作:Absence
・「突然動作を停止」し10秒程度で回復。転倒しない。
d/d:小児欠伸てんかん、若年欠伸てんかん
②ミオクロニー発作:Myoclonic
・意識が保たれることあり。「全身を一瞬ぴくっと」させる。四肢の急激な筋収縮。単発または不規則に反復する。
d/d:乳児良性ミオクロニーてんかん
③間代発作:clonic
・「律動的な筋収縮と弛緩」をビクンビクンと繰り返す。
④強直発作:tonic
・筋の「持続的」収縮。
d/d:Lennox-Gastaut症候群(引き倒されるように倒れ、頭部外傷を伴うこともある)
⑤強直間代発作:tonic-clonic
・強直発作の後に間代発作へと移行。
d/d:覚醒時大発作てんかん、Dravet症候群
⑥脱力発作:atonic
・真下にストンと倒れる。頻度は稀。
d/d:Lennox-Gastaut症候群
焦点起始発作:Focal Onset
一側大脳半球に限局したネットワーク内に起始するものとして概念化。
※以前の部分発作。2017年のILAEの新分類で名称変更あり。
以前の分類との変更点でまとめます。
発作分類
①単純・複雑部分発作→表記の変更あり
単純部分発作(simple partial seizure: SPS):意識保たれる発作
複雑部分発作:(complex partial seizure: CPS)意識減損を伴う発作
この単純・部分の表記はなくなり、「自覚あり・自覚なし」とされるようになりました。
②運動起始or非運動起始←新たに記載
●運動起始:Motor Onset
自動症、間代、強直、てんかん性スパズム、過動、ミオクロニー、脱力
●非運動起始:Non-motor Onset
自律神経、行動停止、認知、情動、知覚
③二次性全般化発作→表記の変更あり
新たに「焦点起始から両側強直間代へ移行」という名称に変更。


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