総論
・皮膚の角層は、疎水性で体内からの水分の蒸発を防いでいる。
・角層は、外用薬が皮膚の内部へ浸透するための最大の障壁となる。また角層表面の皮脂膜は浸透の障壁となる。
・顆粒層以下は親水性の性状であり、薬剤の吸収は容易である。よって、びらんや潰瘍など皮膚欠損では経皮吸収性が高くなるので注意が必要となる。
・今回は外用薬の種類毎の特徴についてまとめましたが、「外用薬の塗り方」「ステロイド外用薬の使用方法」については以前のまとめ↓
基材の種類と特徴
・外用薬は基材(vehicle, base)と主剤(薬剤:main agent)からなる。
・基材は主剤が目的病変に効率よく作用するための補助的物質である。水をはじく疎水性と、水になじむ親水性の2種類に分けられる。
疎水性(油脂性基材)
鉱物性(ワセリン、パラフィン、プラスチベース)
動植物性(植物油、豚脂、ろう、単軟膏、単華軟膏)
浸透性
・主薬の皮膚への浸透性が低い
長所
・皮膚保護作用
・柔軟作用
・鱗屑、痂皮軟化脱落作用
・皮膚刺激性が低い
・適応範囲が広い
短所
・分泌物などの除去作用がない
・べとついて使用感が悪い
・被髪部に使用しにくい
親水性(乳剤性基材:クリーム)、O/W, W/O
水中油型(O/W, oil-in-water):乳化性軟膏
親水軟膏、バニシングクリーム
・皮膚外用薬の多くはO/W型
例)ヒルドイドクリーム、各種副腎皮質ステロイドクリーム
油水水型(W/O, water-in-oil):吸水軟膏, 乳剤性軟膏
水相を欠く基材:親水ワセリン、精製ラノリン
水相を有する基材:吸水軟膏、ラノリンアルコール、親水プラスチベース、コールドクリーム
・O/W型と比較して被覆効果に優れている。乾燥性病変に使用
例)ヒルドイドソフト軟膏
浸透性
・主薬の皮膚への浸透性が高い
長所
・主剤の配合性が良い
・経皮吸収性に優れる
・べとつかない
・水で洗い流せる
・薬物の配合性が良い
短所
・浸出液を患部に再吸収させる
・皮膚刺激性がある
・皮膚保護作用が弱い
・乳化剤や防腐剤などの添加物により接触皮膚炎が起きることがある
・びらん、潰瘍面には使用できない
・水分の蒸発で組成が変わりやすい
親水性(乳剤性基材:クリーム)、水溶性基材
水溶性基材:マクロゴール類、ソルベース
浸透性
・主薬の皮膚への浸透性が低い
長所
・水で洗い流せる
・主剤の溶解性や混合性に優れる
・浸出液を吸着する
短所
・連用により皮膚が乾燥する
軟膏
・疎水性基材として油脂性基材のワセリン、パラフィン、プラスチベースなどを用いて広く使用される外用薬(油脂性軟膏)である。
・保湿性に優れ、鱗屑や痂皮を軟化させて取り除く作用がある
・刺激性が少なく、どんな皮膚症状にも使用できる。
・水溶性基材を用いた水溶性軟膏を用いた外用薬は少ないが、抗真菌外用薬(ハイアラ−ジン軟膏)や抗ウイルス薬軟膏(ゾビラックス軟膏)などがある。
亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の使い分け
・傷口の浸出液が多い場合や汗によるかぶれが酷い場合、酸化亜鉛の濃度が高く、基材としても密着力の優れた亜鉛華軟膏(白色ワセリン系の基材で吸水性が強い)の方が優れる
・長期化使用する場合や傷口が塞がってきた場合には、乾燥によるかゆみや発赤が門ぢあになるため、酸化亜鉛の濃度が低くベタつきの少ない亜鉛華単軟膏(ナタネ油やサラシミツロウといった天然素材の基材で吸水性がない)が適している。
クリーム
・水と油を界面活性剤で混ぜたもの。
・水分の多い水中油型(親水軟膏)と油が多い油中水型(吸水軟膏)がある。
・べとつかず塗り心地が良いが、びらんや潰瘍面には適さない
・クリームは浸出液が出てくるような病変(びらんや水疱)には使用しない。逆に病変部に浸出液を再吸収させてしまう。また、皮膚欠損では経皮吸収性が高いので、基材によっては皮膚刺激性が強くなる可能性がある。
ローション
・薬剤を混ぜた水溶性外用剤(液体、通常は水)で、乳化剤を用いて被髪頭部に用いる剤型と、アルコールを溶媒として被髪頭部の発疹に対して用いる剤形がある。
・べたつきは少ないが、傷があるとしみるので注意。
小児の外用薬をよく使う疾患、アトピー性皮膚炎については下記参照




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