・頚部リンパ節炎を診察する時など、エコー検査は大きな武器となります。
・その際に、このリンパ節腫大はどのような疾患でよく見られるのか、この所見はどのような意味があるのかをまとめます。
正常リンパ節について
・まずは、そもそもリンパ節とはどのような特徴があるのかをまとめます。
・正常リンパ節の外観は、楕円形であり、長径/短径比>2.0が基準です。通常は1cm未満のサイズです。
・内部は境界明瞭でほぼ均一、皮質(外側)のエコーレベルは髄質(内側)よりやや低いです。
・リンパ節には血管、リンパ管が入りこむ場所が正中にあり、これをリンパ門と言います。通常エコーでは高輝度に見えますが、脂肪組織と連続しているためです。成人の方が脂肪が多くリンパ門が厚く見えます。
・また、リンパ門にカラーを当てると、当然血流があるのでFlowが乗って見えます。
エコー検査:基本的ポイント
・リンパ節が複数個腫脹している時→最大径のものを計測する。最も大きいところを長軸最大径で。
・リンパ門が見えにくい時は、カラーを乗せて観察。偏位があれば、悪性疾患の可能性もあるので要注意とする
・数珠状のLN腫脹があれば川崎病を考慮して採血・心臓エコーを検討。急性両側性であればEBV、CMVを考慮し肝臓と脾臓もチェックする
反応性リンパ節腫大
・正常リンパ節の形状がそのまま大きくなり、血流亢進した状態。
・楕円形で大きさは1-3cm、個数は様々。
・境界明瞭で、大体内部はlow-echo
・正中にあるリンパ門から、血流が樹枝状に亢進して見える場合もある。
・リンパ門の偏位はなく、エコープローブの圧迫で疼痛あり。
急性化膿性頚部リンパ節炎
・リンパ節に細菌感染して、膿性物質が貯留した状態。
・高度リンパ節腫脹、圧痛、皮膚の発赤をともなう。
・境界不明瞭で、内部はLow-echoである。内部が壊死するとFlowが乗らず、リンパ門の偏位も認められる。
・周囲に反応性腫大したリンパ節を多数認めることも多く、大体は左右差がはっきりしている。
・リンパ節の被膜が破裂すると、周囲に膿瘍があふれて小さくなる。
転移性リンパ節腫大
・悪性腫瘍はリンパ血流にのって移動し、リンパ節内で増殖する。
・転移巣が大きくなるといびつな形状となり、リンパ節の大部分を占拠するとリンパ節は球形に近くなる。
・悪性組織が血管増殖因子を放出し始めると、リンパ門以外の部位からリンパ節の辺縁から直接腫瘍に栄養血管が出現する。Flowを乗せるとリンパ節辺縁に血流が乗る。
・リンパ節が小さくても多数個が集族していれば病的。
悪性リンパ腫
・リンパ球由来の悪性腫瘍で、悪性化したリンパ球が無制限に増殖する。
・リンパ節由来のものと、リンパ節以外の臓器に発生するものがある。
リンパ節由来の悪性リンパ腫
・球形〜楕円体に腫大したリンパ節が多発する。
・転移性リンパ節よりも楕円体に近い。癒合すればいびつな形状となる。
・無痛性で、両側多発性、数珠状、敷石状に観察される。
・内部はLow-echo様。境界は明瞭で内部均一のことが多い。
・血流は豊富であり、リンパ門以外の多方向からの血流を認める。
・数珠状の場合川崎病が鑑別となるが、川崎病は圧痛があり、リンパ節辺縁からのFlowがないことが鑑別点となる。
節外悪性リンパ腫
・リンパ節以外の臓器に発生した悪性リンパ腫。
・リンパ節由来のものと同様に血流豊富。
結核性リンパ節炎
・無痛性
・球〜楕円体のリンパ節腫大を認める。反応性リンパ節腫大と比較すると球形に近い。
・血流方法でリンパ門以外の多方向から血流がくる。
・他のリンパ節腫大との鑑別点としては、壊死にともなう嚢胞変性や、石灰化(high echo spot)が観察されれば結核を疑う。
参考
・リンパ節炎、自体の病態、検査、治療については下記ブログ記事参照です↓↓(ついでに結核も)






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